PROGRAM

プログラム概要

京滋救急災害整形プログラム専門研修の理念と使命

外傷救急・災害医療に貢献できる幅広い知識と視野をもった整形外科医

整形外科専門医は、あらゆる運動器に関する科学的知識と高い社会的倫理観を備え、さらに、進歩する医学の新しい知識と技術の修得に日々邁進し、国民の皆様に質の高い運動器医療を提供することが求められます。京滋救急災害整形プログラムは運動器疾患全般に関して、必要な臨床能力および実践能力を備えた医師を育成し、国民の運動器の健康に貢献することを理念とします。

一方、昨今の気候変動や地震活動の活発化に伴う災害の急増は、広く国民健康への経済的および人的被害となりつつあります。国連は過去20年の自然災害は気候変動がその原因の大部分を占め、1980~1999年の期間のほぼ2倍で大規模な災害が発生していると報告しています。京滋救急災害整形プログラムは、このような災害レベルの被害にも対応できる高い診療実践能力を発揮できる整形外科専門医の育成を使命とします。

災害整形外科は、重度な四肢外傷に対する機能再建型の外科です。外傷初期治療後の速やかな機能再建術が治療の主体になります。外傷治療に特化した整形外科医が緊急手術を含め受傷早期から治療を開始し、そして手術後は速やかに機能回復を目的とした後療法を実施しなければなりません。このような四肢外傷機能再建外科に主眼を置いた整形外科専門プログラムは、日本には数える程しかありません。

災害整形外科骨折治療においては、生物学的活性の温存に主眼をおいた専門的な整復内固定手術の実践、また重度四肢外傷治療においてはマイクロサージャリーを駆使した治療が求められます。京滋救急災害整形プログラムは、宇治徳洲会病院と滋賀医科大学整形外科およびその関連病院の中でも三次救急を担う病院群、更には湘南鎌倉総合病院外傷センター、札幌徳洲会外傷センター、仙台徳洲会病院を研修病院に加え、「外傷救急・災害医療に貢献できる幅広い知識と視野をもった整形外科医」を育てることを目標とします。

京滋救急災害整形プログラムの目標と特徴

京滋救急災害整形プログラムは到達目標を「外傷救急・災害医療地域医療に貢献できる幅広い知識と視野をもった整形外科医師」としています。
整形外科学は、運動器の機能と形態の維持・再建をめざす臨床医学であり、脊椎、上肢、下肢などの広範な診療領域を扱います。高齢化型社会をむかえた我国におい ては、整形外科への期待はますます大きくなっています。その中でも京都府は、高齢化人口比率の高い地域であり、地域医療で整形外科の果たす役割が非常に重要となります。

このプログラムでは、高齢化社会に即した医療を中心に研修を行い、他科と連携したチーム医療・地域医療、特に包括的な医療を担えるような整形外科医師を目指します。 医師不足地域の宮城県に位置し、仙台市及び周囲医療圏で、災害医療の役割を担う仙台徳洲会病院は、大学整形外科と連携し、専門的な研修も出来るように配慮されています。滋賀医科大学医学部附属病院では、脊椎、股関節、膝関節・スポーツ医学、上肢・手外科、足の外科、小児整 形外科、リウマチ、骨代謝、リハビリテーションなどの診療・研究グループがあります。 連携施設は、スポーツ医学、手外科、脊椎外科、関節外科、救急医療、リハビリテーションなどそれぞれに特色をもった施設、病院があり、当プログラムもそれら施設と連携し研修することにより、プライマリ・ケアから最先端の臨床・研究までを偏りなく学ぶことができます。多くの手術症例を経験・執刀し、研修終了後に自立した整形外科医として診療が出来ることを目指します。

また、スポーツ医学を学ぶ環境も提供できます。京滋救急災害整形プログラムは、専攻医の皆様に素晴らしい研修環境を提供し、個々の能力を最大限に引き出す研修を目指します。また、滋賀県地域枠として地域医療に貢献しようという志をもった専攻医の皆様にも、医師不足地域での地域医療研修義務と同時に多くの専門的な研修と研究の環境を提示できるプログラムとして環境を整えています。

研修方法

整形外科専門研修プログラム整備基準付属解説資料3「整形外科専門研修カリキュラム」に沿って、宇治徳洲会病院および連携施設群において研修を行います。その中には、滋賀医科大学医学部附属病院のプログラムと連携した研修も含まれます。
プログラムおよび専門研修プログラム管理委員会はサイトビジットを含む第3者の評価・指導を受けます。またその際に研修プログラム統括責任者、研修連携施設指導管理責任者、指導医ならびに専攻医は真摯に対応いたします。

研修計画

整形外科の研修で経験すべき疾患・病態は、骨、軟骨、筋、靱帯、神経などの運 動器官を形成するすべての組織の疾病・外傷・加齢変性です。また新生児、小児、学童から成人、高齢者まで全ての年齢層が対象となり、その内容は多様です。この多様な疾患に対する専門技能を研修するために、整形外科専門研修は 1 ヶ月の研修を1単位とする単位制をとり、全カリキュラムを脊椎、上肢・手、下肢、外傷、リウマチ、リハビリテーション、スポーツ、地域医療、小児、腫瘍の10の研修領域に分割し、専攻医が基幹病院および連携病院をローテーションすることで、それぞれの領域で定められた修得単位数以上を修得し、4 年間で48単位を修得する修練プロセスで研修します。

  1. 専門知識の習得計画

    専門知識を整形外科専門研修プログラム整備基準付属 解説資料 3「整形外科専門研修カリキュラム」に沿って研修し、知識能習得状況を6ヵ月毎に評価します。
  2. 専門技能の習得計画

    専門研修プログラム管理委員会による専攻医面接を年1回行い、評価したデータをまとめた評価表を参照し、技能習得に関する目標設定・取得単位調整・指導を行います。
  3. 経験目標

    明示された症 例数以上を宇治徳洲会病院及び連携施設で偏りがないように経験することを目標とし ます。経験の不足している分野については、その後の研修施設において経験可 能なように配慮します。
  4. プログラム全体と各施設によるカンファレンス

    専攻医の知識・技能習得のためのセミナーを専門研修プログラム管理委員会が企画・開催します。
  5. リサーチマインドの養成計画

    滋賀医科大学医学部附属病院において開催される、リサーチカンファレンス(毎月 1 回)に参加。大学院生による基礎研究や医局スタッフによる臨床研究の成果を発表し討論します。
  6. 学術活動に関する具体的目標とその指導体制

    専攻医が学会発表年1回以上、また論文執筆を年1本以上行えるように指導します。専門研修プログラム管理委員会は全専攻医の学会発表数および論文執筆数を年1回集計し、面接時に指導・助言します。
  7. コアコンピテンシーの研修計画

    整形外科専門医としての臨床能力には、専門的知識・技能だけでなく、医師としての基本的診療能力が重要であることから、どの領域から研修を開始しても基本的診療能力を身につけさせることを重視しながら指導します。
  8. 地域医療に関する研修計画

    滋賀県医師不足地域病院および宮城県医師不足地域中核病院となります。したがって、すべての専攻医は連携する大学病院での研修以外は、滋賀県医師不足地域中核病院および医師不足地域中核病院に勤務します。
  9. サブスペシャルティ領域との連続性について

    整形外科専門医のサブスペシャルティ領域として、日本脊椎脊髄病学会専門医、日本リウマチ学会専門医、日本手外科学会専門医があります。

研修およびプログラムの評価計画

  1. 専攻医の評価時期と方法

    専攻医および指導医は研修記録による研修実績評価を6 ヵ月に1 回行い、(9 月末 および 3 月末)専門研修プログラム管理委員会に提出します。他職種も含めた宇治徳洲会病院および各研修施設での研修評価(態度も含めた総評)を各施設での研修終了時に行います。専攻医は研修プログラムの取得単位、学会発表・論文執筆数、教育研修講演受 講状況を年度末に専門研修プログラム管理委員会に提出し、専門研修プログラム管理委員会で評価します。上記の総評を専門研修プログラム管理委員会で年1回年度末に評価します。
  2. 専門研修プログラム管理委員会の運営計画専門研修プログラム

    管理委員会は専門研修プログラム統括(副)責任者を委員長とし、各連携施設の専門研修指導責任者を委員とします。宇治徳洲会病院に専門研修管理事務局を置き、専門研修管理に係る財務・事務を行います。年4回の定期委員会(6,9,12,3 月)を開催し、年度末3月に専攻医4年次の修了判定委員会を行います。必要時に臨時委員会を開催します。専門研修プログラム管理委員会活動報告をまとめ、各研修連携施設および専攻医に報告します。活動報告および研修プログラムは、ホームページで公開します。
  3. プログラムとしてのFD(Faculty Development)の計画

    指導医は整形外科専門研修プログラム整備基準付属解説資料12「整形外科指導医マニュアル」に従って専攻医を指導します。指導医の指導技能向上のためのセミナーを専門研修プログラム管理委員会が企画・開催します。厚生労働省および日本整形外科学会主催の指導医講習会へ参加し、その参加状況を年1回専門研修プログラム管理委員会に報告します。
  4. 専門研修プログラムの改善方法

    専門研修プログラム管理委員会で年1回検討し、必要に応じてプログラム改定を行います。

専攻医の就業環境の整備機能(労務管理)

専門研修プログラム管理委員会は、専攻医に対するアンケートと面接で各施設の就業環境を調査します。就業環境に改善が必要であると判断した場合には、当該施設の施設長、専門研修指導責任者に文書で通達・指導します。

整形外科研修の休止、中断、プログラムの移動、プログラム外研修の条件について

傷病、妊娠、出産、育児、その他やむを得ない理由がある場合の休止期間は合計9 6ヶ月間以内とします。限度を超えたときは、原則として少なくとも不足期間分を追加 履修することとなります。疾病の場合は診断書の、妊娠・出産の場合はそれを証明 するものの添付が必要です。留学、診療実績のない大学院の期間は研修期間に組 み入れることはできません。また研修の休止期間が6ヶ月を超えた場合には、専門 医取得のための専門医試験受験が1年間遅れる場合もあります。専門研修プログラムの移動に際しては、移動前・後のプログラム統括責任者及び整形外科領域の研修委員会の同意が必要です。

修了要件

  1. 各修得すべき領域分野に求められている必要単位を全て満たしていること。
  2. 行動目標のすべての必修項目について目標を達成していること。
  3. 臨床医として十分な適性が備わっていること。
  4. 研修期間中に日本整形外科学会が主催又は認定する教育研修会を受講し、所定の手続により30単位を修得していること。
  5. 1回以上の学会発表、また筆頭著者として1編以上の論文があること。

以上①~⑤の修了認定基準をもとに、専攻研修4年目の3月に専門研修プログラム管理委員会において修了判定を行います。